こんにちは!山梨にアトリエを構えるDIYアートラボ(絵画教室)「アトリエミライ」です。
先日山梨県立美術館に行った際に美術館のパンフレットを頂いてきました。
山梨県立美術館では現在リトグラフの技法を使った版画の実技講座が行われており、私は遅ればせながらオープンアトリエに申し込みました。
そして、電話をして問い合わせ、アトリエを見学させていただきました。
その際に持参する道具のことやリトグラフのことなども説明していただきました。
今回はリトグラフの道具ややり方、普通の版画との違いなどについて簡単に説明したいと思います。
リトグラフとは?普通の版画とどう違うの?
まず最初にリトグラフとは何か?からご説明したいと思います。
リトグラフの別名や由来
石灰石の石版を用いたので石版印刷とも呼ばれています。
リトグラフのリトは、ギリシア語で石を意味する「lithos」からきている
特徴を大きくいうと
リトグラフ=「版面に直接描いた絵がそのまま刷れる」「水と油の反発作用を利用した印刷(版画)」
かなーりざっくり言うと「描く版画」
彫りの作業がないという意味です。
みなさん版画というと「彫る」印象が圧倒的に大きいと思います、すると意外ですよね。
工程ざっくりまとめると
「描画」「製版」「刷り」の3工程
材料ややり方
- 使用する板:石版石(石灰岩)や金属板(アルミ板・ジンク板)
- 描き方:平らな版面(平版)に油脂分が多い描画材で描画(リトクレヨンや解墨など)(版面に、絵を直接描く)
- 処理:描画したところ(油性)だけにインクが乗るようになるように化学的処理をする。
- 仕組み:版全面の化学的な製版処理→描画したところは水を弾き、描画していないところは水っぽい→水分のないところ(描画したところ)にだけインクが乗る。
- 剃り方:専用のプレス機により圧力をかけて刷って紙に転写。
リトグラフ考案者
やり方を発見した人:アロイス・ゼネフェルダー(Aloys Senefelder 1771-1834年)
1796年ドイツで石灰石に簡単なメモを残していたものを酸で処理した後、石鹸水で消そうとしたことがヒントになり、研究を重ねて1798年に技法が完成。
もともとは、ドイツの石切場で出る石灰石を使っていたんだ!
今日本では金属板(アルミ板)が用いられるようになってるよ。
リトグラフが盛んだった時代「ミュシャ」や「ロートレック」
リトグラフは近代の西洋美術で活躍しました。
有名なミュシャやロートレックのポスター作品はリトグラフで作られました。
カラーのリトグラフ(クロモリトグラフという)があるんですね。
19世紀にはヨーロッパ中に広まり、多くの芸術家が愛用した技法です。
印刷技術であり、量産できるので書籍、雑誌、広告、ポスターなど、商用目的でよく使われました。
ミュシャやロートレックの描いたポスターは日本の浮世絵からも影響を受けています。
ミュシャの代表作のリトグラフ
『黄道12宮』(1896年)カラーリトグラフ
ロートレックのリトグラフ
ロートレック「ディヴァン・ジャポネ」(1892年)
木を板にしたリトグラフや水を使わないリトグラフもある!
化学処理された木の板を使って描画する木版リトグラフ(木リトと言われている)だったり、
本来なら水をつかうところ、シリコンを使って描いてない部分ををマスキングして製版を行う「ウォーターレスリトグラフ」など、
新しい方法も開発されています。詳しくはまた別記事にてお届けします。
何れにしても描画したところだけにインクが乗るようにしてするのがリトグラフです。